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このブログの題名の基ともなっている
吉田松陰の遺書「留魂録」を久しぶりに読み直した。

何度読んでも素晴らしい。

気持が高まり、是非、他の人にも読んでほしいと思い、
書評まがいのおススメ文を書いてみた。

久しぶりに小難しい雑文を書いたので、「吉田松陰.com」へUPした。

駄文ではあるが、他の人にも読んで欲しいという魂だけは注入した。

留魂録のすすめ

「留魂録」は、吉田松陰が処刑される直前に松下村塾門下生たちに向けて書いた、その名の通り「魂の遺書」だ。牢獄の中から、愛弟子たちへ切々と最後の訓戒を訴え、また、死に直面した松陰が悟り得た死生観を書き記したその内容は、格調高く、人間としての矜持に満ちており、読む者の胸を打たずにおかない。

事実、「留魂録」は、それを読んだ長州藩志士達のバイブルとなり、「松陰の死」自体とともに、明治維新へと突き進む原動力の一つとなった。松陰が、明治維新の事実上の精神的理論者とされる由縁だ。

吉田松陰というと、松下村塾門下生たちへの凄まじいまでの感化力からか、ドラマや漫画では、ある種の狂人的な描かれ方をされることが多い。人間を絶対的に信用した愚直なまでのその行動をみると、常人にはない突き抜けた一面を松陰が持っていたことは確かだろう。それが吉田松陰の魅力でもある。

「留魂録」の静かでありながら情熱的な文章を読むと、炎の教師・吉田松陰の突き抜けた高い精神、志を肌で感じることが出来る。松陰門下の志士たちが師の遺志を継ぎ、歴史のうねりに次々と身を投じていった理由の一端がこの中にはある。

それだけではない。処刑を前にして、生死を度外視し、あるいは死を望み、生を希求した後、転じて死を覚悟するに至る、揺れ動く松陰の心境が率直に語られている部分などは、歴史上の偉人としてではない、人間・吉田松陰の息づかいも同時に感じることが出来るのだ。

数奇な経緯を経て、幸運にも松陰が書いた「留魂録」は現代に伝わり、現在、講談社学術文庫から廉価な文庫本としても出版されている。この文庫本には、原文と共に現代語訳文、注釈がついており、松陰の格調高い文章そのままに、平易で分かりやすい名文となっている。

訳注者は、幕末期の長州藩や人物を取り挙げた歴史小説・随筆などを主題の多くにしている山口県出身の直木賞作家・古川薫氏。松陰に対する理解、造詣が最も深い人物の一人であり、留魂録の現代文訳の適任者と言えるだろう。

また、巻頭には松陰が「留魂録」を記すまでの成立背景・事情を記した解説が、巻末には、松陰の足跡、思想の変遷を記した「史伝・吉田松陰」も併せて収録されている。そこからは、単純な排外思想の攘夷論などではなく、欧米の情勢を把握し、先進文明を積極的に吸収しようと開明的な方向に視線を据えていた松陰の姿が浮かび上がってくる。この本は、吉田松陰の多面的な人間像を知るのに最良の一冊と言っていい。

古川薫氏はこの文庫の「あとがき」でこう述べている。
「過去、私は吉田松陰の評伝も書いてきたが、多面的で巨(おお)きなこの人物の全体像を浮かびあがらせるのは、いかようにしても私ごときには至難の業である。むしろ、『留魂録』の原文をじっくり読むことが、松陰理解への早道であるかもしれない。歴史を動かした大文章に凝縮されたひとつの人間像をとらえるのに、その五千字が短すぎるということはないだろう」

炎の教師・吉田松陰から幕末志士たちに向けられた魂のメッセージ。拝金・功利主義社会を生きる現代の私たち日本人にも、訓戒を与えているのかもしれない。


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